行列表示とか

途中の赤い文字から読んだほうがいいはず

東工大の過去問で必要そうな数学を

(1)はハミルトニアン波動関数に作用させて終わり
いちおうその時にガウス積分の公式を使う.
けどもう習ったから公式で使ってしまえばいいと思う.

ガウス積分

\int^\infty_{-\infty}e^{-ax^2}dx=\sqrt{\frac{\pi}{a}}
これを使えばいい。それと積分するときにxe^{-ax^2}積分は奇関数だからというのを使えばいい.

問題は(2)だ.
演算子の行列表示の仕方
習ってないからこの方法を思いつくのは難しい.けど意外とわかると思う.

まず量子力学では
波動関数->ベクトル,物理量(演算子)->行列
に変換される.これを思い出そう.

例えば
波動関数\phiだとすると
ブラベクトルは -> 行ベクトルに
\langle\phi|  = (\phi_1^*,\phi_2^*,\dots)
ケットベクトルは
|\phi\rangle  = \left(
    \begin{array}{c}
      \phi_1 \\
      \phi_2 \\
      \vdots \\
    \end{array}
  \right)
となる.ブラでスターがついてるのはブラはケットのエルミート共役(ダガー†)をつけたやつだから.

エルミート共役

転置をとって複素共役をとったやつ

そして物理量(演算子)は行列に変換される.そして物理量はエルミートなのでエルミート共役をとっても元に戻る.
その前に物理量(演算子)が行列というイメージを
p=-i\hbar\nabla =\left(
\begin{array}{ccc}
             p_{11} & p_{12} & p_{13} \\
             p_{21} & p_{22} & p_{23} \\
             p_{31} & p_{32} & p_{33} \\
\end{array}
\right)
本当は無限行無限列です.

エルミート性

物理量はエルミート共役をとっても元に戻る.
p^† = p

エルミート演算子をとって元に戻るということは転置をとって複素共役をとって戻る.
これをつかって行列表示された行列の成分を考えると
転置されても行列の対角成分は変わらない.なので対角成分は複素共役をとるだけ.

  • なので対角成分は複素共役をとって元に戻る.つまり実数となる.
  • そして他の転置をとられるところは互いに複素共役になっている.

この2つは物理量を行列表示した時の確かめに使えます.

多分ここから読んで上を読んだほうがいいかも

話が長くなった.
では演算子を行列表示するには
どうするか.
答えは基底で挟めばいいのですがなぜそうなるのかの話を

行列表示の方法は行列の成分を求める事になります.
まあ行列は厄介なのでベクトルの成分の求め方についてを軽く.

ベクトルの成分を求める.

ベクトルの成分を求めるにはその基底の内積をとればよい.
例:2次元ベクトルの成分を求める.
2次元ではられる基底を
e_1= \left(
    \begin{array}{c}
    1\\
    0\\
    \end{array}
  \right),
e_2= \left(
    \begin{array}{c}
    0\\
    1\\
    \end{array}
  \right)
とする.

ここで任意のベクトルの成分を求める.
r= \left(
    \begin{array}{c}
    r_1\\
    r_2\\
    \end{array}
  \right)
というベクトルの成分をどうやって出すか.
例えばr_1を出すにはe_1内積を取ればよい.
ちょっと量子力学ぽっくするためにブラケットを使ってみる.
e_1\cdot r  = \langle e_1\mid r\rangle=
(1,0)\left(
    \begin{array}{c}
    r_1\\
    r_2\\
    \end{array}
  \right)=r_1
となる.つまり

\langle e_1\mid r\rangle=r_1\\
\langle e_2\mid r\rangle=r_2\\
これは(ベクトルに基底で内積をとったらその成分が出るということは)授業でもやってる.少し形が違う感じで習っているけど.

行列の成分を求める

じゃあ実際に行列の話しに.
行列は成分を指定するときに行と列の2つを指定しなくては行けない.
なので挟めばいい.

例:二次元を考えて上の基底e_1,e_2をつかう.

そうすると任意の行列Lの成分を知りたいとする.
L=\left(
\begin{array}{cc}
             L_{11} & L_{12}\\
             L_{21} & L_{22} \\
\end{array}
\right)
の1,2成分を知りたいとすると
\langle e_1 \mid L \mid e_2 \rangle
をつかう.
\langle e_1 \mid L \mid e_2 \rangle = (1,0)\left(
\begin{array}{cc}
             L_{11} & L_{12}\\
             L_{21} & L_{22} \\
\end{array}
\right)
\left(
    \begin{array}{c}
    0\\
    1\\
    \end{array}
  \right)
=(1,0)\left(
    \begin{array}{c}
    L_{12}\\
    L_{22}\\
    \end{array}
  \right)
=L_{12}
となる.
こんな感じで行列の成分を求める事ができる.なので行列はこの方法を使うと以下のようになる.

L=\left(
\begin{array}{cc}
             \langle e_1 \mid L \mid e_1 \rangle & \langle e_1 \mid L \mid e_2 \rangle\\
             \langle e_2 \mid L \mid e_1 \rangle & \langle e_2 \mid L \mid e_2 \rangle \\
\end{array}
\right)
となる.

これを使って量子力学演算子を行列表示します.
物理量を行列表示したときはエルミートになっているかをみると間違いが減らせるはず.(上を参照)

例えば今回は角運動量を行列表示するのだけど

 \langle \psi_1 \mid L \mid \psi_1 \rangle
とかを計算していって行列の成分を出していけばいいかな.
これを計算するっていっても普通に

 \langle \psi_1 \mid L \mid \psi_1 \rangle = \int \psi_1^† L \psi_1 dx
みたいに積分してしまえばいい.
普通の関数みたいに積分とか使えるときはそれで
行列,ベクトル表示が楽なときはそれで

使いやすい時に使い分けて.