正準交換関係から運動量演算子の形を考える。

量子力学の授業の最初で運動量演算子f:id:mashiroyuya:20170826003852p:plain:w10の形が -i\hbar \frac{\partial}{\partial x}と習うと思いますが、 これはどこからきたのかということを考えます。

代数構造の基本は正準交換関係

まず前提に量子力学の代数構造を決めるのは正準交換関係であるという話で進めていきます。

正準交換関係 f:id:mashiroyuya:20170826002306p:plain:h20

この式が量子力学の代数の最も基本的な式でここから代数は全て出発していきます。

正準交換関係を\langle x | x' \rangleで挟む。

f:id:mashiroyuya:20170826002545p:plain:h20

となります。
また左辺の式は

f:id:mashiroyuya:20170826002636p:plain:h100

2行目から3行目は演算子f:id:mashiroyuya:20170826003654p:plain:w10\langle x||x' \rangleに作用したとしてf:id:mashiroyuya:20170826003654p:plain:w10x,x'に変えました。

よって

f:id:mashiroyuya:20170826005524p:plain:h20

両辺にiをかけて\hbarで割る。そして\hat p のエルミート性を使って場所を移し(\hat p\langle x | に作用していると見ているということに注意してください)、

f:id:mashiroyuya:20170826005052p:plain:h40

よって

f:id:mashiroyuya:20170826005102p:plain:h40

デルタ関数の性質から上の式と同じ形を作る

ここで以下のデルタ関数の性質を考えます。

デルタ関数の性質: f:id:mashiroyuya:20170826011035p:plain:h25

より、xをx-x'へと置き換えて微分しても右辺は同じように0なので(0を微分しても0)

f:id:mashiroyuya:20170826011046p:plain:h40

よって

f:id:mashiroyuya:20170826011110p:plain:h40

この式を上記の(*)式と見比べると

f:id:mashiroyuya:20170826011123p:plain:h80

となります。

抑えておいてほしいこと

スタートの関係式は正準交換関係です。
ここから運動量演算子を見ることができるんですね。

ちなみに正準交換関係を満たす運動量演算子と座標演算子のペアは他にも無数にありそれらでも別に良いのです。

今回の \hat p = -i \hbar \frac{\partial}{\partial x}
運動量演算子f:id:mashiroyuya:20170826003852p:plain:w10をブラx  \langle x |に作用させて作ったということをしっかり抑えてください。