LaTeX 入門 2 - 環境とパッケージ -
前回のLaTeX入門チュートリアル1はLaTeX入門目次の第一回です。
今回はLaTeXの基本の環境についてとパッケージの使い方を学びます。
今回の記事で書ける数式のバリエーションも前回より増えますし、より本格的な文章を書けるようになるので頑張りましょう。
\begin に始まり \endで終わる。
「環境」を知ろう
LaTeXを少し復習してみましょう。
Hello World!という文字の出力は
\documentclass{jsarticle} \begin{document} Hello World! \end{document}
ですが、\documentclass{jsarticle}は文書の種類を決めている行で、
\begin{document} Hello World! \end{document}
の部分は本文でした。
この本文は\begin{document} と \end{document}
というもので挟んでいますがこれは
読んで分かるようにdocumentの始まりで、documentの終わりということを表しています。
にはこのように、\begin{...}と\end{...}
で囲んで使用するコマンドが多数あり、
こうしたコマンドにより指定される領域を「環境」と呼びます。
環境命令は非常にたくさんありますので全ては紹介できませんが、ここでよく用いられる便利な環境を幾つか紹介しておきます。
真ん中へ
文章を中央に配置するcenter環境
\begin{center} 真ん中へ書いたぞ! \end{center}
これで書くとcenter環境の中の部分は真ん中に配置されます。
箇条書き
箇条書きはこんな感じ
\begin{itemize} \item 一つ目の項目 \item 二つ目の項目 \end{itemize}
数式に番号をつける
第一回のチュートリアルでは数式は
\[ \]
で挟んで書いていましたが数式に番号は付いていませんでした。しかし数式に番号をつけたい時もある。
そういう時は数式用の環境、equation環境を使いましょう(equationは式って意味)。
\begin{equation} y = ax^2 + bx + c \end{equation}
LaTeXでは式番号はLaTeXが勝手につけてくれます。上から順に1、2、3 ・・・という感じで。
なので特に書く人が意識しなくてもequation環境など適切な環境は使えば良いのです。
後から数式を増やそうが減らそうがLaTeXが勝手に番号を振ってくれるのでそこにいちいち注意を払わなくていいというのはLaTeXのメリットの一つですね。
パッケージ
LaTeXを使っていても必要なコマンドがなかったり、もう少し便利なコマンドがあったらなど思う時があります。
そのような時にLaTeXを拡張してくれるのがパッケージです。
プリアンブル
パッケージを使うにはプリアンブルと呼ばれる場所に使うパッケージを宣言します。
\documentclass{jsarticle} ここがプリアンブル \begin{document} 本文 \end{document}
プリアンブルというのは\documentclass{}
から\begin{document}
までの間の部分をプリアンブルといいます。
ここにパッケージを宣言します。
パッケージを使ってみよう。
例として物理の量子力学で使うブラケットがあります。
ブラケットを表示するのにはbraketパッケージを使います。
(なぜかスペルがbracketではなくてbraketなので注意してください。)
\documentclass{jsarticle} \usepackage{braket} \begin{document} \[\braket{\psi|\psi}, ~\ket{0}, ~\bra{x}\] \end{document}
このようにパッケージを使うときは
\usepackage{パッケージ名}
をプリアンブルに記述します。
braketパッケージを導入すると上のようにブラケットやケット、ブラが簡単に書くことができます。
ちなみにtexの中のチルダ(~)は空白を意味するものでLaTeXでは空白はスペースキーを打つだけでは何回打っても1つ分しかスペースを取ることができないのでチルダ(~)を使ってスペースを表現します。
計算過程を記述したい!
例えば数式を一気に複数行表示したい、計算過程を表示したい時があります。そのような時はalign環境という環境を使いますがalign環境はデフォルトではないのでamsmathというパッケージを使用します。
\documentclass{jsarticle} \usepackage{amsmath} \begin{document} \begin{align} \int \log x ~ dx &= x\log x - \int x\frac{1}{x}dx + C\\ &= x\log x -x + C \end{align} \end{document}
となります。
上で使ったalign環境は計算過程を書くときに使えます。
&=
と書いたイコールは縦に揃えられます。
また一行の最後には\\
を書いて改行を行います。
align環境を使うと全ての行に式番号がつきます。
数式番号は一つがいいな
そういうときはamsmathパッケージの中のsplit環境と、先ほど習ったequation環境の組み合わせをしましょう。
\documentclass{jsarticle} \usepackage{amsmath} \begin{document} \begin{equation} \begin{split} \int \log x ~ dx &= x\log x - \int x\frac{1}{x}dx + C\\ &= x\log x -x + C \end{split} \end{equation} \end{document}
これはequation環境の中にsplit環境を入れることで複数行の数式の表示を可能にし、equation環境が一つだけ番号をつけてくれているということになっています。
改行やイコールの揃え方はalign環境と同じです。
amsmathパッケージ
amsmathパッケージは上で紹介したalign環境、split環境など数式を表現するのに便利な環境などが詰まったパッケージです。
LaTeXを書くときにはもうほぼ欠かせなのではないでしょうか。
なのでamsmathパッケージは数式をよく書く人はプリアンブルに常に書いておくことをオススメします。 \usepackageを書き忘れてエラーが出ないようにするためにも。
\documentclass{jsarticle} \usepackage{amsmath} \begin{document} 本文と数式 \end{document}
という形をデフォルトにして書くようにしましょう。
まとめ
今回のまとめ
\begin{環境名} \end{環境名}
LaTeXにはいろんな環境があってそれはこんな感じで使うよ。
\documentclass{}
と\begin{document}
の間をプリアンブルと言いうよ。
ここに\usepackage{パッケージ名}
でパッケージを導入できるぞ。
数式を使うなら\usepackage{amsmath}
はプリアンブルに書いておこうな!
align環境とか
equation環境とsplit環境の組み合わせ
で計算過程の数式も作れるから必ず覚えておいてな。
こんな感じです。
次回は図の挿入です。