LaTeX 入門 1 -CloudLaTeXの使い方とLaTeXの初歩 -


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LaTeXをこれから始めたいが、まだ何もしておらず何をすればいいのかわからないという初心者向けの入門チュートリアルです。

そのため画像などでわかりやすく書いたつもりですが、少しわかりづらいところもあると思います。なのでそのようなところがあれば遠慮なく聞いていただきたいです。

本当にざっとみたい人は最後の"まとめ"を見るといいかと思います。

チュートリアルは第4回までです。

4回通してCloudLaTeXを使っているので自分のパソコンにLaTeXの環境を用意する必要はありません。 なのでCloudLaTeXの練習にもなると思います。

画像は見づらければクリックで大きくなります。

LaTeX, TeXとは?

"とは?"と銘打っていますがそこまで詳しくは説明せず簡単に。

TeXは文書を作成するソフトになりますが、
MicrosoftのWordのように打ったままの見た目で出力はされません。

LaTeXコンパイルが必要。 f:id:mashiroyuya:20170828152816p:plain

.texという拡張子のファイルに本文を書き、数式などはコマンドを使って表現します。
それをコンパイルという作業を通してPDFなどに出力します。

このコンパイル という作業をできるようにするために少し前までは自分のパソコンに LaTeX環境を作らなくてはならず大変でした。

しかし、今ではCloudLaTeXというクラウドサービスがあり、 ネットがつながるところであれば環境を整えなくてもブラウザを通して簡単にLaTeXを書くことができます。

なのでこのチュートリアルではCloud LaTeXを使って LaTeXを書いてきます。

そのため、初回はCloudLaTeXの使い方から入り簡単なTeXを書くところまでを紹介します。

Cloud LaTeX のアカウント登録

下のリンクからCloud LaTeXへアクセスしてください

cloudlatex.io

f:id:mashiroyuya:20170828152844p:plain

このようなトップが表示されると思います。
ここから新規登録を押してアカウント登録しましょう。

f:id:mashiroyuya:20170828152903p:plain

Facebook, twitter のアカウントかメールアドレスを使ってサインインします。
所属には現在所属している大学名、学校名を入力します(テキトーでもいい気がする)。

初めてのプロジェクト作成

f:id:mashiroyuya:20170828152924p:plain

サインインができたら次のような画面が表示されます。

f:id:mashiroyuya:20170828152939p:plain

赤い矢印で指しているところをクリックして新規プロジェクトを作成します。

f:id:mashiroyuya:20170828153009p:plain

プロジェクト名は適当にTestLaTeX
説明はLaTeXの練習用などにしておきましょう。

f:id:mashiroyuya:20170828153029p:plain

そうしたら次のようなTestLaTeXプロジェクトができているので赤枠でくくられているところをクリックしてTeXを始めましょう!

Cloud LaTeX の使い方

f:id:mashiroyuya:20170828153056p:plain

↑クリックしたら下の画像のような画面になるので赤矢印で指しているところをクリックしましょう。

f:id:mashiroyuya:20170828153120p:plain

↑そうしたら真ん中が白くなって上の画像のようになります。

f:id:mashiroyuya:20170828153224p:plain

↑ではここで簡単にCloudLaTeXの画面の説明をしましょう。

↑まず左側はファイル操作を行う画面でファイルの選択、追加、削除、ローカル(自分のパソコン)からのファイルのアップロードを行います。
(すでにTeXファイルがあってそれを編集したい人はここの+ボタンからファイルをアップロードしてからtexの編集をしてください)

f:id:mashiroyuya:20170828153251p:plain

↑次に真ん中の画面はエディタと呼ばれるところでここでTeXファイルを編集します。今は左のmain.texファイルを選択しているので、そのファイルが開かれていて文字が打てる状態になっています。

f:id:mashiroyuya:20170828153314p:plain

↑最後に一番右側ですがここではTeXのファイルをコンパイルした結果のPDFを表示、もしくはTeXのエラーなどが書かれています。

まずはLaTeXを書いてみる

では実際にLaTeXを書いていきましょう!!
上で説明したエディタに文書を書いていきます。

まず次のようなテキストを書いてみましょう(コピペでもいいです)。

\documentclass{jsarticle}

\begin{document}
Hello World! 初めてのTeX
\end{document}

f:id:mashiroyuya:20170828153354p:plain

エディタに書いた感じはこんな感じ

f:id:mashiroyuya:20170828153423p:plain

↑そうすると自動コンパイルされて右の組版画面にPDFが表示されます。
見づらかったら+ボタンでズームしてみてください。

CloudLaTeXは基本自動保存で、自動コンパイルになります。なので特に何もしなくても保存とコンパイルが完了しており、 エディタで文字を書けば右側のPDFに出力されます。

Cloud LaTeXでの作業の流れは

  1. まずtexファイルをエディタで編集する。
  2. 入力したら少し待って自動コンパイルさせる(もしくは右上のコンパイルボタンを押す)。
  3. コンパイルされた後のPDFで確認する。
  4. エラーがあればエラーコードを読んでそれを修復してPDFを確認。
  5. 1.に戻る。

という流れになります。

LaTeXの基本

以下のテキストはLaTeX書くときに最低限必要になるものですので覚えておきましょう。

\documentclass{jsarticle}

\begin{document}
Hello World! 初めてのTeX
\end{document}

一行目の\documentclass{jsarticle}は文書の形式を決めるコマンドです。

次の

\begin{document}
\end{document}

の間に本文を書きます。これも欠かすことができません。
つまり、LaTeXの最低限の構成は

\documentclass{jsarticle}
\begin{document}
ここに本文やら数式を書いていきます。
\end{document}

こうなっており、これであなたもLaTeXを書くことができます!!

LaTeXの改行について

LaTeXの改行はWordなどとは少し違います。なので注意してください。
エディタで一回改行してもPDFの方では改行されません。

\documentclass{jsarticle}
\begin{document}
ここに本文やら数式を書いていきます。
例えばこう書くと。
\end{document}

f:id:mashiroyuya:20170828153527p:plain

TeXで改行するには\\と文末に打つか、 一行あけるかのどちらかです。
前者のやり方はそのまま改行で、後者の方は1字下げをして改行します(そのため段落をつけるときに使います)。

\documentclass{jsarticle}
\begin{document}
これは字下げのない普通の改行です。\\
字下げなしで改行されました。

一行あけたのでこの行は字下げで改行されました。
\end{document}

f:id:mashiroyuya:20170828153626p:plain

数式を書く

やっと数式を書く練習に入ります。
LaTeXのメインは数式が綺麗に書けることですからね。

数式は \[ と \] の間に数式コマンドを書いて数式を表現します。

↓例えば多項式は特に難しいコマンドは必要なく簡単です。

\documentclass{jsarticle}
\begin{document}
数式を書いてみます。\\
一次式は
\[y = ax^5 + bx^4 + 3cx^3 + 2dx^2 + x + 12\]
\end{document}

f:id:mashiroyuya:20170828153711p:plain

簡単な数式コマンド

意味 コマンド 数式
分数 \frac{a}{b} \frac{a}{b}
偏微分 \partial \partial
エイチバー \hbar \hbar
プサイ \psi \psi

↓ここにあるコマンドを使えばシュレディンガー方程式が書けます。

\documentclass{jsarticle}
\begin{document}
量子力学で習うシュレディンガー方程式は次のように書ける。
\[H\psi = \frac{\partial \psi}{\partial t}\]
\end{document}

f:id:mashiroyuya:20170828153750p:plain

このようにして偏微分なども綺麗に書くことができます。

文中に数式

↓先ほどの \[ \]で囲む方法では数式が文章から独立しますが文中に数式を書きたい場合は \( \) で囲むことでできます。

量子力学における波動関数\(\psi(x)\)は以下のシュレディンガー方程式に従う。
\[H\psi = \frac{\partial \psi}{\partial t}\]

f:id:mashiroyuya:20170828153834p:plain

他の数式コマンド

コマンド 数式
べき乗(上付き添字) a^2 H^b a^2 H^b
下付き添字 H_2 O H_2O
シグマ \sigma \sigma
インテグラ \int \int
積分 \int d^3 x \int d^3 x
ベクトル \vec{a} \vec{a}

他にもたくさんのコマンドがあります。 下のような感じでtex 何々でググればたくさん出てきます。
tex ギリシャ文字 で検索。

f:id:mashiroyuya:20170828153919p:plain

↑今までに習った例を使って上のような文を書いてみましょう。

ここに解答例のtexのソースを貼っておきます。

\documentclass{jsarticle}
\begin{document}
量子力学は
解析力学のポアッソンブラケット
\(\{x,p_x\} = 1\)
を量子力学の交換関係
\([x,p_x] = i\hbar\)
とすることで量子化を行う。

量子力学の運動方程式にあたる式はシュレディンガー方程式である。
\[H\psi(t,x) = i\hbar \frac{\partial \psi(t,x)}{\partial t}\]
この式より波動関数の時間依存性は
\[\psi(t,x) = e^{-i\frac{H}{\hbar}t}\phi(x)\]
となる。
\end{document}

Cloud からダウンロード

ではある程度TeXをかけたということで次はtexファイルやコンパイル後のPDFファイルを手元のパソコンにダウンロードしておきましょう。
バックアップという意味で手元にtexファイルを残しておくことは必要だと思います。

では、どのようにファイルをダウンロードするのか

PDFのダウンロード

f:id:mashiroyuya:20170828154026p:plain
↑PDFは編集している画面(CloudLaTeX)右上のここ↑のPDFを押してください。
そうすると新しいタブでPDFが開かれるのでお使いのブラウザのやり方でこのPDFをダウンロードしてください。

safariでしたら右クリックで"プレビューで開く"からcommand + s で保存。

Chromeなら

f:id:mashiroyuya:20170828154229p:plain

赤い矢印の方にダウンロードするところがありますのでここからダウンロードできます。

texソースファイルのダウンロード

f:id:mashiroyuya:20170828154301p:plain

↑編集画面右上の家のマークのホームボタンからCloudLaTeXのホームに戻ります。

f:id:mashiroyuya:20170828154428p:plain

↑そしてダウンロードするtexソースのあるプロジェクトのチェックボックスにチェックを入れてから
zipでダウンロードをクリックするとzipファイルでソースをダウンロードすることができます。

定期的にダウンロードして手元にファイルを残すようにしておきましょう。

まとめ

今回の内容はLaTeXの始め方ですが大雑把にまとめると

  1. https://cloudlatex.io/ja/ここからCloudLaTexへ
  2. アカウント登録してtexプロジェクトを作る。
  3. tex
\documentclass{jsarticle}
\begin{document}
本文とか数式とか
\end{document}

という形で書く。
4. 数式は\[ \]とか\( \)で数式コマンドを挟んで書く。

という感じです。

今回の内容ができたらあとはググれば十分に色々できると思います。
tex ~~~ みたいな感じで自分の書きたいものを検索してみてください。

次回はもう少しtex数式を書く工夫などを行っていきます。

チュートリアル2

mashiroyuya.hatenablog.com