正準交換関係から運動量演算子の形を考える。
量子力学の授業の最初で運動量演算子の形が−iℏ∂∂xと習うと思いますが、
これはどこからきたのかということを考えます。
代数構造の基本は正準交換関係
まず前提に量子力学の代数構造を決めるのは正準交換関係であるという話で進めていきます。
正準交換関係
この式が量子力学の代数の最も基本的な式でここから代数は全て出発していきます。
正準交換関係を⟨x|x′⟩で挟む。
となります。
また左辺の式は
2行目から3行目は演算子を⟨x|と|x′⟩に作用したとして
をx,x′に変えました。
よって
両辺にiをかけてℏで割る。そしてˆp のエルミート性を使って場所を移し(ˆpが⟨x|に作用していると見ているということに注意してください)、
よって
デルタ関数の性質から上の式と同じ形を作る
ここで以下のデルタ関数の性質を考えます。
デルタ関数の性質:
より、xをx-x'へと置き換えて微分しても右辺は同じように0なので(0を微分しても0)
よって
この式を上記の(*)式と見比べると
となります。
抑えておいてほしいこと
スタートの関係式は正準交換関係です。
ここから運動量演算子を見ることができるんですね。
ちなみに正準交換関係を満たす運動量演算子と座標演算子のペアは他にも無数にありそれらでも別に良いのです。
今回のˆp=−iℏ∂∂xは
運動量演算子をブラx ⟨x|に作用させて作ったということをしっかり抑えてください。