演算子の交換関係,交換子
ここでは演算子の交換関係について話します.
目標
このページでできるようになってほしいことは
交換関係を理解し,交換子を理解しこれを計算できる.
ということを目標にしていきたいと思います.
流れ
- 目標
- 流れ
- 1.まず交換関係の前に演算子のあとには任意の関数があるという話について.
- 2.次に演算子の積の順番について.
- 3.次に交換関係.演算子の順番を意識しながら.
- 4.次に交換子.上の3つを意識しながら.
- 5.具体的な計算例,計算問題
という流れで行きたいと思います.
文章中に「次の2番で」とかがあったらこの"流れ"の番号ですので注意してください.
では順番に行きましょう.
1.まず交換関係の前に演算子のあとには任意の関数があるという話について.
量子力学で物理量が演算子に変わることはOKですね?
演算子というものについて忘れがちなことがあります.
演算子というのはそれがかかる関数があって意味をなすのです.
例えば運動量演算子がありますがこれはよく単体で書かれていますが
これは右に任意の関数がかかっているということを忘れないでください.
つまり
このように演算子が一つ書かれていても
と関数の部分が隠れているということを忘れずに!(関数のところを省略して書いているのです.)
これはズボラをしているのですがそのせいで忘れがちなので気をつけてください.
また演算子が2つあるとき(2つの積や和になっているとき)も同じなので注意!
これは=>
これはこう!=>
いつも上の左のように演算子が書かれたりします.また関数が省略されたまま計算したりします.
そこを注意してください!
これを忘れていると演算子の計算で間違ってしまいますよ.
例.
計算: を計算せよ.
回答は次の2番の最初にあります.
ヒント:関数があることを忘れないようにしよう.慣れないときは関数を書き足してみよう.
上の例はできたでしょうか?
関数を書き足して解いて見た時は関数を書き足さないバージョンで解いた式も書いてみましょう(関数を書き足した時の式から関数を取ればいい!)
そうすることで関数を省略しても演算子が何か関数にかかっているということの練習になるかと思います.
演算子を単体で書くときは頭の中でとなりに関数を描いておくといいかもしれません.
まず最初のまとめです.
2.次に演算子の積の順番について.
演算子の積は順番が大切です.
例えばは
となります.(上の練習問題の答えです)
しかしこれの逆はこれ以上計算できません.
とは違う結果になってしまうのです.
つまり順番は大切で勝手に入れ替えては行けません.
演算子の積は一般に入れ替えられないので勝手に入れ替えたりしないようにしましょう.
これは演算子が行列になることからもわかると思います(行列の積も順番を入れ替えられない).
ここでの計算は次回とまとめます.
では2番のまとめ
3.次に交換関係.演算子の順番を意識しながら.
交換関係というのは2つの演算子があったときにその演算子が交換するか(入れ替える事ができるか)という関係を表しています.
例えば交換するということは順番を入れ替えられるということは演算子の順番を入れ替えても同じということ
ということである.
これを変形して
次は逆に交換しないということは
これを変形して
つまりの差が0じゃないということ
この2つが交換する.しない.になるのです.次はこれを記号を使って表しましょう.
3番のまとめ
- 2つの演算子が
- 交換する→
- 交換しない→
4.次に交換子.上の3つを意識しながら.
交換関係を学びましたね.上の交換関係を[]を使って書いたものを交換子といいます.
交換子は上記のような定義になっています.
3番で学んだ交換関係を思い出すと
2つの演算子が交換するときは
というように交換子が0になります.
ここで! 1番で学んだことを思い出しましょう.
演算子のあとには関数が隠れているんでしたね.
交換子の定義の式を見るとわかるように交換子も演算子です!なので交換子の隣にも関数があることを忘れないようにしましょう!
と書いても
があることを忘れないように!
つまり
は
であることを忘れないように!
計算するときに慣れていなければ関数をつけてみましょう.
けれども省略して計算できるようになると楽で便利です.
4番のまとめ
- 交換子の定義
- 交換するとき
- 交換しないとき
交換子も演算子なので関数が後ろにあることを忘れない!計算するときは関数を自分で書くといい.
この4番のまとめは今まで全部のまとめにもなっているので
このまとめを抑えればここまではOKです!!
最後の計算問題が出来ればオールクリアや!